建築って意外と身近?建物に隠されたいろんな工夫
文理探究科1年生には「CreationⅠ」という独自科目があります。この授業の一環として、私たち文理探究科1年生は、夏休み中に6つ開講される「選択STAEM講座」のうち1つ以上を受講します。この講座では普段経験できないような体験や学びがありました!
この記事では「建築講座」の内容について報告します。
この講座では主に"建築"に関して、2日間の講座を受講しました。私達にとって身近で、きっても切れない関係の建築。そもそも建築はどんなものなのか、どう私達の生活に関係しているのか…
「実はこんなところに!建築家、高橋渓さんの工夫」
1日目は、通信販売で有名な『フェリシモ』さんの本社で、建築家の高橋渓さんと共に建築に関して学びました。まず最初にフェリシモの様々なフロアを見学しました。
このフェリシモ本社を設計した高橋さんから、こういう意図で、どんな人がどう感じるようにしたかというお話等を聞きながら、新たな視点で見学することができ、とても新鮮でした。特に、私が個人的に驚いた工夫があるのですが、皆さん分かるでしょうか。
フェリシモ本社では、基本的に廊下や部屋の壁、扉や机、椅子まで全て"白"で統一されています。想像してみたら結構驚いてしまいますが、コレは仕事のためなんだそうです。フェリシモで商品に関して打ち合わせをする際、その商品が部屋の壁や机の色で見えにくくなったり、印象が変わらないよう、商品が映えるように全て白で統一しているのだそう。細かい所なのかもしれませんが、これも建築やデザインの1種だと思うと、本当に建築は私達の生活と密接に繋がっていると改めて思いました。
また、フェリシモ本社の見学以外にも、フェリシモ本社の中にあるチョコレートミュージアムの見学、そして神戸のトレードマークであり、今年リニューアルされたばかりの「ポートタワー」も見学しました。
ポートタワーを見学する際、フェリシモからポートタワーまで歩いて移動したのですが、高橋さんに「移動中に、ここはこうした方がいいんじゃないかって思った場所や建物を地図にメモをして、どうやったら更にそこを活用できるかを考えて欲しい」と言われ、道中うんうんと唸りながら様々な所を観察して行きました。実際に、高橋さんに限らず、建築家の方はこうして外に出てアイデアを考えて、時にはメジャーを持って測ったりしているそうです。個人的に、意外だと思いました。私と同じく、意外だと思った方も居るのではないでしょうか。私には建築家の人=設計図を書く人、というイメージがあったので、こうやってフィールドワークをしている姿を見て、それだけではないと気づくことが出来ました。
またポートタワーに関しても、高橋さんの工夫で溢れていました。1階部分の天井に取り付けられているカラフルなボードを進行方向の方に進む度、色を明るくすることで矢印を使わずに進行方向を示したり、ポートタワーが作られた当初の工事の時の傷や、床に書かれた工場用のメモを敢えて残すことで、ポートタワーの歴史を感じれるようにしたり…と他にも沢山ありますが、その他は皆さんが実際にポートタワーへ足を運んでみた方が発見できると思います。皆さん、是非ポートタワーを登ってみてください。
「建築家、木村博昭さんの素敵な教会」
2日目は建築家の木村博昭さん、阿曽芙実さんと共に御影高校の所在する神戸市東灘区の「鉄の教会」を見学しました。この建築物は木村さんが設計されたもので、その名の通り、「鉄」をメインに建てられています。ここでは建築の材質のお話だけでなく、建築そのものとは何なのか等も学ばせていただきました。私が想像していたヨーロッパの教会とはかなり雰囲気が違っていたのですが、シンプルで、また違った魅力が沢山ありました。
「目から鱗!阿曽芙実事務所の工夫」
次に、阿曽さんの家であり、アトリエでもある阿曽芙実事務所を訪問しました。阿曽さんは仕事とプライベートを分けられるような家にしたい、とこの事務所を建てる前に思っていたそうで、そのため事務所に入った瞬間、廊下がまさに路地のようになっています。そして、そのコンクリートの道の脇に植物が生えていました。そう、事務所部分を"外"として見立てるためです。この工夫を阿曽さんから聞いたときは、本当に目から鱗が落ちました。
確かに、同じ建物の中だったとしても、事務所を「外」だと認識出来れば、家ゾーンに入った時、仕事だという感覚は抜けますよね。このように、私達が受けた建築の講座では小さな工夫が集まって出来た、素敵な建築を沢山学ぶことが出来ました。もし、その「工夫」やその工夫を学ぶ楽しさがこの記事を読んでいる皆さんに伝わったなら幸いです。